令和6年度 病院長挨拶

はじめに


 新潟市民病院のホームページを訪問していただきありがとうございます。
 新型コロナウィルス感染症は令和5年5月8日に感染症法上5類となり、社会も経済活動が再会され活気が戻ってきました。しかし、新型コロナウィルス感染症は依然として流行しており注意が必要な状況です。病院の面会は感染予防のため現在も一部制限がありますが、ご協力をよろしくお願いいたします。
 令和5年度新潟市民病院は50周年を迎えました。新潟市民病院の理念は「患者とともにある全人的医療」で患者参加型のぬくもりのある医療をめざしています。基本方針は理念とともに50年間変更がありませんでしたが、生命倫理、医療安全、働き方改革、健全経営を取り入れた以下の7項目に改正いたします。


  1. 患者さんに信頼される、ぬくもりのある医療を提供します
  2. 生命の尊厳と人権を尊重し、高い倫理観をもって医療に取り組みます
  3. 重症・専門・救急を中心に、安全で良質な医療を提供します
  4. 他の医療機関などと連携し、地域医療の確保と充実を図り、人々の健康な生活を支援します
  5. 人間性豊かな医療人を育成します
  6. 職員が心身ともに健康で、働きやすく働きがいのある職場をつくります
  7. 公共性と経済性を両立し、持続可能な経営に努めます

 当院は自治体病院として政策的医療を担い、現在の取り組み事項を以下に示します。

2024年4月1日  新潟市病院事業管理者 新潟市民病院長 大谷 哲也


高度急性期病院としての機能


 新潟市民病院は新潟医療圏で三次救急医療を担当する高度急性期・急性期病院です。救命救急・循環器病・脳卒中センターは50床で、そのうちICU(特定集中治療室)は8床で、2:1看護(特定集中1)で集中治療が行われています。救急ステーションは、新潟市消防局の協力のもと、医師が同乗するドクターカーを配備し常時出動できる体制です。令和5年の救急車搬入数は6,383台、ドクターカーの出動は842回でした。重篤患者数は1,083人で、県内有数の患者数を治療しています。総合周産期母子医療センターは57床で、24時間周産期の救急医療に対応しています。そのうちNICU(新生児集中治療室)は9床、GCU (新生児治療回復室)21床、MFICU (母体・胎児集中治療管理室)6床です。厚生労働省救命救急センター評価では S評価で、高い評価を受けています。令和5年の母体搬送は107件で、緊急直接入院は54件でした。
 令和6年度にはハイブリッド手術室が完成し、下期には稼働する予定です。高齢者の心臓弁膜症などの治療の選択肢が増え、低侵襲で入院期間も短縮される見込みです。

地域医療支援病院、紹介受診重点医療機関としての役割

 地域医療支援病院は、紹介患者に対する医療提供、医療機器の共同利用等の実施を通じて、かかりつけ医、かかりつけ歯科医等を支援し、効率的な医療提供体制の構築を図ることを目的としています。当院は、平成19年10月31日より新潟県より指定を受けました。また令和5年度には紹介受診重点医療機関の指定を受けました。平成29年7月から、外来は完全紹介予約制となりました。また、患者総合支援センターの医療福祉相談員は病診連携・病病連携に取り組み円滑な入退院を目指しています。令和5年度(令和6年1月まで)の紹介率は90 %、逆紹介率は112 %でした。

感染症指定医療機関、新型コロナウィルス感染症重点医療機関としての役割

 当院は、第一種、第二種、結核感染症指定医療機関であり、また新型コロナウィルス感染症重点医療機関に指定されていました。新型コロナウィルス感染症延べ入院患者数は令和2年度1,275人、令和3年度2,664人、令和4年度3,645人で、合計延べ7,584人となります。令和6年2月で第10波の感染症サージが認められ、現在も重症患者に対応しています。新型コロナウィルス感染症の手術に対応するため、手術室の陰圧化工事を行い7床対応となりました。

チーム医療と医療の質の改善

 病院職員は各々が専門を有しており、その専門性を生かすための資格取得や院内外の研修会などの参加を奨励しています。診療支援チームは10チーム(感染制御、抗菌薬適正使用、褥瘡対策、栄養サポート、緩和ケア、呼吸ケア、摂食・嚥下サポート、認知症ケア、院内救急対応、災害医療支援)で、多職種が協力して活動を行い医療の質の改善に取り組んでいます。ホームページには当院の「医療の質の指標(QI)」を公開しており、年次変化をみることで当院の質の向上を確認できます。

人間性豊かな医療人の育成

 当院は臨床研修指定病院、卒後臨床研修評価機構認定病院でもあり、医学生の教育や研修医の教育にも力を入れています。令和5年度より新研修医1年は1名増員し14名となります。
新専門医制度には7基本領域(内科、外科、整形外科、救急科、総合診療科、小児科、麻酔科)で基幹施設となっています。看護師やコメディカルの資格認定取得の推奨、多職種によるワークシフト・シェアの取り組みで各職種の業務の多様性と可能性を追求します。

地域災害拠点病院としての役割

 令和6年1月1日能登半島地震が発災しました。被害にあわれた方々にはお見舞い申し上げます。新潟県にも被害があり当院も災害対策本部を設置し対応いたしました。当院からDMAT ( Disaster Medical Assistance Team )、統括DMAT、JRAT ( Japan Disaster Rehabilitation Assistance Team ) を現地に派遣し医療支援に当たりました。これからも災害に対して地域災害拠点病院の役割を果たします。

地域がん診療連携拠点病院、がんゲノム医療連携病院としての機能

 地域がん診療連携拠点病院、がんゲノム医療連携病院に指定されています。これらの役割のために、専門的ながん医療の提供、がん診療の地域連携協力体制の構築、がん患者・家族に対する相談支援及び情報提供等を行っています。
 令和3年度には、手術支援ロボットが最新のda Vinci Xi サージカルシステムに更新されました。令和6年1月までのロボット手術総数は、前立腺がん355件、食道がん94件、胃がん272件、直腸がん171件、膵がん24件です。

おわりに

 新潟市民病院の理念は「患者とともにある全人的医療」で、理念に沿った病院の運営を心がけています。令和5年度の病院顧客満足度調査では、「全体としてこの病院に満足している」が入院医療96 %、外来医療90 %で、高評価を維持しています。これからも、全職員が患者参加型の「ぬくもりのある医療」を実践することで、安心・安全な医療の提供につなげ、地域の基幹施設としての責務を果たしていきます。


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