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人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン

平成18年8月
改訂 平成24年11月
平成29年 9月
平成30年6月
新潟市民病院
人生の最終段階を迎えた本人及び家族等と医師をはじめとする医療・ケアチーム(注釈1)が、最善の医療とケアを作り上げるプロセスを示すために、このガイドラインを策定する。
(厚生労働省:人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドラインを規範とする)
(注釈1):医療・ケアチームとは、主治医、上席医、看護師、医療相談員、介護従事者等の医療従事者
1.人生の最終段階における医療・ケアの在り方
  1. 医師等の医療従事者から適切な情報の提供と説明がなされ、それに基づいて医療・ケアを受ける本人が医療・ケアチームと話し合いを行い、本人による意思決定を基本としたうえで、人生の最終段階における医療・ケアを進めることが最も重要な原則である。
    また、本人の意思は変化しうるものであることを踏まえ、本人が自らの意思をその都度示し、伝えられるような支援が医療・ケアチームにより行われ、本人との話し合いが繰り返し行われることが重要である。
    さらに、本人が自らの意思を伝えられない状態になる可能性があることから、家族等の信頼できる者も含めて、本人との話し合いが繰り返し行われることが重要である。この話し合いに先立ち、本人は特定の家族等を自らの意思を推定する者として前もって定めておくことも重要である。
  2. 人生の最終段階における医療・ケアについて医療・ケア行為の開始・不開始、医療・ケア内容の変更、医療・ケア行為の中止等は、医療・ケアチームによって、医学的妥当性と適切性を元に慎重に判断すべきである。
  3. 医療・ケアチームにより可能な限り疼痛やその他の不快な症状を十分に緩和し、本人・家族等の精神的・社会的な援助も含めた総合的な医療・ケアを行うことが必要である。
  4. 生命を短縮させる意図を持つ積極的安楽死は、本ガイドラインでは対象としない。
2.人生の最終段階における医療・ケアの方針の決定手続
人生の最終段階における医療・ケアの方針決定は次によるものとする。
(1)本人の意思の確認ができる場合
  1.  方針の決定は、本人の状態に応じた専門的な医学的検討を経て、医師等の医療従事者から適切な情報の提供と説明がなされることが必要である。
     そのうえで、本人と医療・ケアチームとの合意形成に向けた十分な話し合いを踏まえた本人による意思決定を基本とし、多専門職種から構成される医療・ケアチームとして方針の決定を行う。
  2. 時間の経過、心身の状態の変化、医学的評価の変更等に応じて本人の意思が変化しうるものであることから、医療・ケアチームにより、適切な情報の提供と説明がなされ、本人が自らの意思をその都度示し、伝えることができるような支援が行われることが必要である。この際、本人が自らの意思を伝えられない状態になる可能性があることから、家族等も含めて話し合いが繰り返し行われることも必要である。
  3.  このプロセスにおいて話し合った内容は、その都度、文書にまとめておくものとする。 参考)
(2)本人の意思の確認ができない場合
本人の意思確認ができない場合には次のような手順により、医療・ケアチームの中で慎重な判断を行う必要がある。
  1. 家族等が本人の意思を推定できる場合には、その推定意思を尊重し、本人にとっての最善の治療方針をとることを基本とする。
  2. 家族等が本人の意思を推定できない場合には、本人にとって何が最善であるかについて本人に代わる者として家族等と十分に話し合い、本人にとっての最善の治療方針をとることを基本とする。時間の経過、心身の状態の変化、医学的評価の変更等に応じて、このプロセスを繰り返し行う。
  3. 家族等がいない場合及び家族等が判断を医療・ケアチームに委ねる場合には、本人にとっての最善の治療方針をとることを基本とする。
  4. このプロセスにおいて話し合った内容は、その都度、文書にまとめておくものとする。
(3)多職種及び複数の専門家からなる委員会の設置
上記(1)及び(2)の場合において、治療方針の決定に際し、
  1. 医療・ケアチームの中で、心身の状態等により医療・ケア内容の決定が困難な場合
  2. 本人と医療・ケアチームとの話し合いの中で、妥当で適切な医療・ケア内容についての合意が得られない場合
  3. 家族等の中で意見がまとまらない場合や、医療・ケアチームとの話し合いの中で、妥当で適切な医療・ケア内容についての合意が得られない場合等については、臨床倫理支援室(急な判断を要する場合を含む)に相談することや、倫理委員会に審議を申請することが望ましい。
3.人生の最終段階における医療処置(蘇生処置を含む)に関する確認書
この確認書は本人にとって、その時点で最もふさわしい医療・ケアを本人あるいは家族等と共に考え、緩和的アプローチを含めて提供することを意味する。本人、家族等には十分な説明と意思確認を行い、必要に応じて別紙様式1様式2に必要事項を記入してもらい、担当医はこれをカルテに保存する。
補足)人生の最終段階における医療・ケア処置(蘇生処置を含む)に関する確認書の解説
蘇生不要指示・DNAR(Do Not Attempt Resuscitation)指示は日常的に多くの病院で出されている。しかし、そのとらえ方は医療者個人個人で異なっており、DNAR指示によってCPR以外の他の治療に対しても消極的になり、生命維持治療も制限されてしまい、実質的に延命治療の差し控え・中止となっている場合さえある。そこで、CPR以外の他の医療処置内容についても、具体的に十分な考慮が必要であるという趣旨のもとに、この確認書を使用する。
尚、本人が別の医療機関や介護施設に移る場合や本人の病状が変化した場合などには、その内容を再評価するべきである。
参考)人生の最終段階おける診療録記載に当たっては、以下の事項を含むことが求められる。
(1)医学的な検討とその説明
  • 人生の最終段階であることを記載する。
  • 説明の対象が本人の場合、本人の意思、またはリビングウィルの有無を記載する。本人以外の場合、本人との関係を記載する。
  • 本人が人生の最終段階であることについて、本人あるいは家族等に説明した内容を記載する。
  • 説明に際して、本人あるいは家族等による理解や受容の状態を記載する。
(2)人生の最終段階における対応について
  • 本人の意思(またはリビングウィル)の内容を記載する。
  • 本人が意思を表明できない場合、家族等による本人の推定意思を記載する。
  • 家族等の意思を記載する。
  • 本人にとって、最善の治療方針について検討事項を記載する。
  • 医療・ケアチームのメンバーを記載する。
(3)状況および対応が変化した場合、その変更について記載する。