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終末期医療ガイドライン

平成18年8月
平成24年11月改訂
新潟市民病院
人命の尊厳と患者の意思の尊重という観点から、適切な終末期医療が行われることを目的として、このガイドラインを策定する。このガイドラインでは、終末期のなかで急性型(救急医療等)と亜急性型(悪性腫瘍等で生命予後が概ね6ヶ月以内)を対象とする。
1.基本精神
新潟市民病院の医療従事者は、患者と医療従事者の相互理解に基づいて、患者自身が求める最善の終末期医療が行われるよう努力しなければならない。
2.終末期および終末期医療とは
「終末期」とは、治癒不可能な病気に冒され、回復の見込みがなく死が避けられない患者の状態をいう。患者が終末期にあることは、医療ケアチーム(注1)によって判定・確認される必要がある。
「終末期医療」とは、終末期に行われる医療の総称で、本来の病気に対する医療や苦痛緩和のための医療あるいは生命の維持のための医療等が含まれる。具体的には薬物投与、化学療法、人工透析、人工換気、輸血、酸素吸入、栄養・水分補給などを指す。
3.終末期医療についての患者本人の意思確認
患者が終末期の状態にあって、過剰な延命治療を望まない場合には、その意思を尊重する。
ただし、未成年者の場合は、院内臨床倫理検討会等で評価し、意思決定能力があると判断された場合にのみ本人の意思を尊重する。
患者の口頭による意思表示および患者本人による事前の文書による意思表示(リビング・ウィル)も有効であるが、後者の場合は、家族等(注2)への十分な説明が必要である。
4.治療方法の選択と確認
「一人で決めない」「1回で決めない」「記録を残す」ことを基本とする。
医療ケアチームと、患者本人および家族等が十分に話し合って治療内容と方法を選択、確認する。
終末期の患者が最も望むことは苦痛の緩和であり、そのために最大限の努力をする。
患者本人の明確な意思表示が存在しない場合には、家族等の話から患者の意思を推定(推定的意思)し、その推定的意思を尊重した治療を行うことを基本とする。
家族等が患者の意思を推定できない場合には、医療ケアチームは家族等と十分話し合った上で、患者にとって最良の治療を行う。
5.安楽死について
直接に患者の生命を終わらせる処置を当院では行わない。
ただし、臨床上脳死と判定できる患者の対応については、院内臨床倫理検討会に委ねる。
6.院内の相談システムの利用
いずれの場合においても判断に迷う場合には、院内臨床倫理検討会に相談することや、倫理委員会臨床倫理部会に審議を申請することが勧められる。
7.過剰な延命治療拒否の申し出/無意味な蘇生処置を行わない要望書
過剰な延命治療や、無意味な蘇生処置を希望しない申し出や要望があった場合、上記に沿って十分な意思確認を行い、必要に応じて、患者・家族には別紙(別紙様式1(PDF)別紙様式2(PDF))に必要事項を記入してもらい、主治医はこれをカルテに保存する。
(注1)「医療ケアチーム」とは、主治医、上席医、看護師、医療相談員等の医療従事者
(注2)「家族等」とは、法的な意味の親族だけでなく、患者が信頼を寄せている人を含む

補足:慢性型の終末期医療における人工的水分・栄養補給の導入に関する当院の考え方

平成24年11月
新潟市民病院

終末期には、急性型(救急医療等)、亜急性型(悪性腫瘍等で生命予後が概ね6ヶ月以内)、慢性型(脳卒中、認知症、呼吸不全など先の予測が困難な慢性疾患が対象)の3つに分けられる。急性型と亜急性型は「新潟市民病院 終末期医療ガイドライン」に従い対応する。適切なプロセスを経て決定・選択されたものについては法的にも責任を問われない。
一方、慢性型の終末期は実に多様であり、今後のわが国の医療上、社会システム上の重大問題となることは必至である。しかし、問題の大きさと複雑性から考えて、現時点での画一的なガイドラインを示すことは難しい。そこで、慢性型の終末期医療における当院の考え方を,人工的水分・栄養補給の導入に関する意思決定プロセスを例として以下に示す。それ以外の慢性型の終末期医療における医学的介入については、個々の症例毎にこれに準じる。
1.いのちについてどう考えるか
生きていることは良いことであり、多くの場合本人の益になる・・・このように評価するのは、本人の人生をより豊かにし得る限り、生命はより長く続いたほうが良いからである。当院の医療従事者は、このような価値観に基づいて、個別事例ごとに、本人の人生をより豊かにすること、少なくともより悪くしないことを目指して、本人のQOLの保持・向上および生命維持のために、どのような介入をする、あるいはしないのがよいかを判断する。
2.生命維持のための医学的介入
慢性型の終末期患者に新たに生命維持のための医学的介入(具体的には人工的水分・栄養補給など)を考慮する場合には、主治医が、諸選択肢(導入しないことも含む)を患者本人の人生にとっての益と害という観点で評価し、目的を明確にしつつ、最善のものを見出す。そのさい、家族の事情や生活環境についても配慮する。
例えば、医学的介入により当面生命維持が可能であるが、QOLの保持・向上を達成できるか疑わしい場合には、その医学的介入による延命ではなくQOLを優先し緩和ケアを主体に行う可能性が高いであろう。ただし、このような場合においても、本人の人生全体にとって最善の道を、本人およびその家族等(注1)と医療ケアチーム(注2)での話し合いにより考える。(図参照)
(注1)「家族等」とは、法的な意味の親族だけでなく、患者が信頼を寄せている人を含む
(注2)「医療ケアチーム」とは、主治医、上席医、看護師、医療相談員等の医療従事者