救急医療
災害医療救護チーム
新潟市民病院は新潟県の災害拠点病院に指定されています。薬剤部では地震などの天災や、工場火災など化学災害時に速やかな医薬品の供給ができるよう、日頃から備蓄薬の選定および品質管理を行い、自治体や病院で行う災害医療訓練にも参加しています。そして、阪神・淡路大震災、新潟県中越地震、新潟県中越沖地震、東日本大震災、熊本地震、北海道胆振東部地震の際には、DMAT(災害派遣医療チーム)および医療救護班に薬剤師が参加しています。
院内救急対応チーム
新潟市民病院は3次救急医療の中核病院でもあります。薬剤部内でも心肺蘇生(CPR)、自動体外式除細動器(AED)の基本技術を習得すると共に、突然の心停止に対する最初の10分間の対応を修得するトレーニングコース(ICLS)や、災害や集団感染などあらゆる救急医療事案をシミュレーションするメディカルラリーにも参加し、救急を専門とする病院スタッフとして日頃から情報・技能を共有しています。
院内救急対応チームは、医師、看護師、臨床工学技士、診療放射線技師、臨床検査技師、薬剤師等で構成され、院内の救急システムを整備、向上することを目的としています。
緩和ケアチーム
緩和ケアとは、「がんなどの生命を脅かす疾患による心と身体の苦痛を和らげ、患者さんやそのご家族が自分らしい生活を送れるように手助けをする医療」です。がんと診断がついた時からケアする必要があり、痛みなどの症状のケアだけではなく、不安などの心のケアも行います。
緩和ケアチームは、患者さんが痛みのない生活を送れること、不安を少しでも軽減できることなど、病気と向き合いながら自分らしい生活を過ごして頂けるように、医師・看護師・薬剤師・臨床心理士・医療相談員・栄養士で構成されているチームです。
患者さんが望むケアをチームスタッフで検討し、その中で薬剤師は症状に対する薬の選択、副作用への対応、生活上の工夫などを主にフォローしています。
緩和ケアが必要な入院患者さんに対しては、チームで回診を行い、主治医、病棟看護師、病棟薬剤師とともに話し合いをして対応をしていきます。
また、外来患者さんに対して、保険調剤薬局の薬剤師と情報共有を行い、痛みのない生活を送れるようケアを行っています。
ICT(感染管理チーム)/AST(抗菌薬適正使用支援チーム)
ICT(Infection Control Team)とは感染管理チームの略称です。医師、看護師、臨床検査技師、薬剤師、事務職員で構成されています。ICTでは、感染を広げない・起こさないため、感染対策のサポートを行っています。薬剤師として院内での薬品や消毒薬の管理等が適切に行われているかの確認をしています。
AST(Antimicrobial Stewardship Team)とは抗菌薬適正使用支援チームの略で、構成員はICTと同様です。抗菌薬の不適切な使用や長期使用は耐性菌発生の原因となります。ASTでは感染症治療において最大限の治療効果を導くと同時に、有害事象をできるだけ最小限にとどめ、いち早く感染症治療が完了できる(最適化する)よる支援活動を行っています。AST専従の薬剤師として広域抗菌薬の使用や血液培養陽性事例等における抗菌薬の使用状況を把握し、必要に応じて抗菌薬の選択や使用方法(用法用量等)の提案を行っています。
主な活動内容
- ICT/ASTニュースの制作
- ICT/ASTミーティング(週2回)
- 院内環境ラウンド
- 定期的な院内感染対策講習会の開催
- 院内感染対策マニュアル、抗菌薬使用の手引きの定期的改訂
- 個々の感染症例の相談や助言
褥瘡対策チーム
褥瘡の発生や重症化は本来の治療を長期化し、患者さんに不利益をもたらします。当院では、皮膚科医師と皮膚・排泄ケア認定看護師を中心に管理栄養士、理学療法士、薬剤師で褥瘡対策チームを構成しています。
褥瘡問題を縮小する事を目指して、症例検討会や院内スタッフ向けの学習会を開催しており、薬剤師も院内学習会の講師として、褥瘡に使用される薬剤の講義を担当しています。
NST(栄養サポートチーム)
NSTとは栄養サポートチームの略です。患者さんの栄養管理について、適切かつ質の高い栄養療法が行えるよう支援します。毎週、医師・看護師・薬剤師・管理栄養士・臨床検査技師で編成されたNSTメンバーが院内を回診し、対象患者さんに対する栄養療法のアドバイスを行っています。
また、毎月第一水曜日にはNST研究会、第二木曜日ににNST勉強会を行い、多くの医療スタッフと情報の共有化を行っています。
SST(摂食・嚥下サポートチーム)
SST(Swallowing Support Team)とは、摂食・嚥下サポートチームの略称です。「摂食(食べること)・嚥下(飲み込むこと)」を支援するため、対象患者さんの摂食・嚥下機能の評価、指導・助言、合併症予防や対策を行い、さらに新しい知識や技術の共有を目的に院内研修会を開催しています。
薬剤師の摂食・嚥下への関わりでは、摂食・嚥下機能を悪化させている薬剤や薬剤数・服薬回数の見直し、服薬支援、生活機能やQOLを考慮した「リハビリテーション薬剤」への関与が求められています。
DST(認知症ケアサポートチーム)
DST(Dementia care Support Team)とは、認知症ケアサポートチームの略称です。専任の脳神経内科医、認定看護師を中心に、理学療法士、管理栄養士、薬剤師、メディカルソーシャルワーカーなどの多職種で構成されています。薬剤師としては、週1回のチームカンファレンスや病棟回診に参加し、患者さんに使用されている薬の情報提供や適切な薬物療法の提案を行っています。
HIV診療サポート
新潟市民病院はエイズブロック拠点病院として、HIV感染症の患者様に対し専門的治療を行っています。チームは医師・看護師・薬剤師・臨床心理士で構成されています。検討会では、患者様に応じた薬の選択・副作用の対応・生活上の工夫などを検討し、治療に対する支援を行っています。
HIV治療薬は継続して服用を続けることが何よりも大切ですが、内服薬のサイズが大きい、内服薬の種類が多くて1回服用量も多い、薬の値段が高い、など服用を続けていくのが困難な点がいくつかあります。 HIV担当薬剤師は患者様が主体的に治療と生活を両立できるよう、情報提供や服薬支援を行います。
外来糖尿病教室
新潟市民病院では新病院移転を機に外来糖尿病教室を始めました。これは病状が安定しているときは「かかりつけ医」が診療し、合併症の検査が必要なときは「中核病院」が診療するという、現代的な病診連携システムを視野に入れた対応です。
薬剤部では糖尿病教育入院はもちろん、この外来糖尿病教室にも初期段階から参加し、院外薬局薬剤師とも連携して糖尿病治療薬、低血糖対策、シックディ対策についての教育・啓発活動を行っています。