研修の理念 ~ウィリアムオスラーの教えとともに~
新潟市民病院は1973年に設立され、今日に至るまで医療人の育成に力を注いできており、病院としての基本目標の一つに、「人間性豊かな医療人の育成をめざす」ことを掲げています。
病院の基本理念である「患者とともにある全人的医療」は、ウィリアム・オスラー(1848-1919)の「医学は患者と共に始まり、患者と共にあり、患者と共に終わる」、
Osler said medicine
“should begin with the patient,continue with the patient, and end with the patient”.
に基づいています。
病院外来玄関前にオスラー胸像を建立し、その信念をいつも全職員が忘れることがないよう毎日の業務に携わっています。臨床研修においても、患者さんの病気だけを見るのではなく、心理・社会・経済面など患者さんを取り巻く環境も幅広くとらえながら医療を行うことが重要です。
高度化と専門化が進んだ医療において、このような患者中心の全人的医療を行うには複数の医療専門スタッフが組織的に診療に取り組む「チーム医療」が不可欠です。チーム医療を実践する上で、スタッフ間での「的確な患者情報の共有」と「良質なコミュニケーション」は欠かせません。患者、家族、そして医療チーム内で良好なコミュニケーションをとることができるように努力する必要があります。
日常の診療においては言葉だけでなく、献身、愛情、思いやりをもった態度が全ての患者さんに対して、自然ににじみでるように努力する必要があります。多くの患者さんは、医師が口先だけなのか、それとも大きな思いやりをもって接してきているのかはすぐに判断できるといわれています。臨床研修を開始するにあたって、このような態度を養うことが医療技術や判断力の修得よりも大切だということを念頭に置かなければいけません。
また、臨床研修にあたっては、オスラーの言葉にあるように、自分の目で見、聞き、そして心で感じることをベッドサイドで行うことが大切です。
・Fifteen minutes at the bedside is better than three hours at the desk.
・It is by your own eyes and your ears and your own mind and (I may add) your own heart that you must observe and learn.
患者さんに尊敬の念を持って接し、確かな知識・技術と判断力、そして大きな思いやりをもった医療人になることを願ってます。
教育研修室より
新潟市民病院の臨床研修-医師としての滑走路―
教育研修室長 桑原史郎
医師免許取得後40年以上医師としての仕事をします。臨床研修は、最初の2年(1/ 20 にすぎません)です。しかし、この2年間で、医師としてのコミュニケーション能力、プロフェッショナリズム、正しい診察方法、正しい手技、正しい学習法、を身につけることが非常に大切です。2年間で医師としての方向性が決まると考えてください。
新潟市民病院の臨床研修は40年以上の歴史があり、これまでに300名以上の医師の育成を行ってきました。当院の基本目標の一つに「人間性豊かな医療人の育成」があり、多くの医療人の育成に携わっています。さらに経験豊富で情熱をもった指導医が多数在籍し、病院全体で研修医育成をサポートする体制となっています。当院の役割は重症・救急・専門を中心とした質の高い医療を行うことですが、日常診療でよくみられる疾患の患者さんも多数受診されます。このため、臨床研修ではCommon DiseasesからSevere Diseasesまでの幅広い疾患を経験することが可能です。
プログラムは、医師としての基礎固めのために、特定の科に偏らないHigh volumeな研修としています。2年間の研修終了時には、どの科を専門としても役立つ臨床能力が確実に身につきます。
2年間の臨床研修終了後には当院にそのまま在籍し、内科・総合診療科・小児科・外科・整形外科・麻酔科・救急科での専門研修、専門医取得も可能です(約半数の研修医が当院の専門研修プログラムへと進みます)。
熱い研修を希望される皆さんをお待ちしています。
新潟市民病院における臨床研修の歴史
新潟市民病院は昭和54年度(1979年)より、厚生省指定臨床研修病院として卒後臨床研修を行い、平成9年度(1997年)からは、スーパーローテートの研修方式に完全移行しました。
また、平成16年度の卒後臨床研修必修化に際して、単独型臨床研修病院として臨床研修プログラムを全面改訂いたしました。
平成18年度からは、管理型臨床研修病院として、平成21年5月からは、基幹型臨床研修病院として、臨床研修を行っています。
臨床研修管理委員会
外部委員を入れた臨床研修管理委員会は、臨床研修プログラムの作成と管理、研修医の管理、研修医の評価と報告、指導医の評価等の臨床研修実施の統括を行っています。
教育研修室では、臨床研修に係る庶務、臨床研修の実施、研修医の公募と登録、研修協力施設との連絡調整、研修医等からの相談等の業務を行っています。
また、指導医を中心とした研修プログラム等検討専門部会では、研修医の意見をとりいれた研修プログラムの作成と改善、研修医評価の検討と審査、研究発表会の開催、研修修了時に表彰される最優秀研修医の選出、研修医の状況把握など、良い研修が安心してできるよう活動しています。
臨床研修紹介動画
研修風景
オリエンテーション
これからの研修生活がスムーズに送れるようサポートします
Drデシュパンデの教育回診
問診と診察からの鑑別の大切さ、そして英語を学びます
Dr入江のバイタルサインセミナー
主訴×バイタルサインで鑑別するトレーニングをします
CVC実践セミナー
シミュレーションを通じて手技を身につけます
T&Aコース
ERの主要な病態の初期対応を学びます
縫合実習
プロフェッショナルから縫合の奥義を学びます
NPO法人卒後臨床研修評価機構(JCEP)の認定
当院は、NPO法人卒後臨床研修評価機構(JCEP)の第三者評価を受審査し、2007年に全国で9番目に認定されました。
以降、継続して評価の基準を達成していると認定されており、2023年11月に更新(認定4年)しています。